社員旅行で給与(源泉)課税を受けないノウハウ

社員旅行イメージ

Q わが社は今期業績が良かったため、従業員慰労のために社員旅行でグアム旅行に行こうと考えています。福利厚生費として全額を経費にしたいと思っていますが、大丈夫ですか。

A 3つの条件を満たしていれば、全額福利厚生費として問題ありません。

 節税対策としてよく挙げられる「社員旅行」。
全額福利厚生費とできるかどうかを考える前に、ちょっとその効果について考えてみましょう。

その社員旅行、ホントに社員は喜んでるか?

 社員旅行から帰ってきた友人に話を聞くと、「タダだから行くけど、自由に友達と行く方が楽しいよ。」とか「仕事が忙しいのに、何考えてんだか。」といった社員旅行否定派の意見をよく耳にします。
そんな社員旅行なら、いくら節税になるからといって、わざわざ会社のお金を使って行く必要ありますか?ってことです。
もともと、社員旅行には、「社員のモチベーションが上がる」「社員のリフレッシュになる」という効果があります。
これが一番の目的。節税が一番ではない。
なので、社員に「そもそも社員旅行をしたいか?」「行くなら、どこに行きたいか?」「いつなら仕事が忙しくないか?」といったことをヒアリングして、決めることが最重要なのです。

 社員のモチベーションを上げ、リフレッシュにもなるなら、次にそのお金を使うに見合うだけの効果か?ということを考えてみましょう。

節税にはなる。が、キャッシュは出ていく

 例えば、社員20名の会社で、一人10万円のグアム旅行を実施したとしましょう。
この場合、200万円を経費にできますから、確かに約80万円の節税にはなります。しかし、同時に200万円というキャッシュは手もとに残りません。

社員旅行は節税だけを考えるな
社員が喜んでいるという前提があって、初めて節税というオマケが付いてくるという点を、まずは忘れないようにしましょう。でないと、その200万円に死に金になってしまいます。

社員旅行を会社の福利厚生費にするための条件

 これらを踏まえた上で、社員旅行に行くぞ!となった場合、行ったはいいが福利厚生費にならず、税務署から「それ、給与です。」と認定されてしまったら…。
せっかくの楽しい社員旅行が後から源泉所得税を課税されてしまい、社員が不満が出るのは間違いないでしょう。
そうならないために、以下の点を押さえて実施してください。

  1. 旅行に要する期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には目的地での滞在日数が4泊5日ということで、機内泊の1泊は加算されない)
  2. 旅行に参加する従業員等の数が50%以上であること(工場や営業所別の旅行ではその工場や営業所の従業員の50%以上)
  3. 一人当たりの旅費が10万円程度であること

社員旅行で経費として認められる内容としては、

  • 往復の交通費
  • 宿泊費
  • 昼食代
  • 夕食代
  • 保険代金
  • 観光費用

などです。観光費用まで経費で認められているって意外ですよね。 

 なお、社員旅行に不参加者がいた場合に、不参加者に旅行費用代わりとして現金を支給するなんてことは、絶対しないように
 不参加者はもちろんのこと、参加者までその現金に相当する給与が支払われたものとして源泉所得税が課税されてしまいます。

自己都合不参加者に金銭支給するな

 ただし、保安要員などで、どうしても会社業務のために参加できなかった従業員にだけ現金を支給した場合は、その従業員だけに対して源泉所得税が課税されます。

 言うまでもないことですが、役員だけでグアムやハワイに行った、なんていうのは100%アウトですよ。

 海外旅行を経費にする時に愛人連れて行ったり、家族旅行を付け込んだりする社長が後を絶ちませんが、100%バレると言っておきます。

 なぜなら、海外旅行は旅行会社に反面調査をすれば誰が行ったかすぐに分かる。
 じゃ旅行会社を使わなきゃバレないんだな!
 いやいや、税務署には質問検査権がありますから、出入国管理局に問い合わせれば、いつからいつまでどこに海外旅行したか、たちどころに分かっちゃいます。

 バレたら、領収書や請求書に会社名を書くよう指示していることをもって、仮装行為と認定され、重加算税がかけられます。
 バレバレのことはしないようにしましょう。

 なお、色んな旅行で節税する技を知りたいという方は「旅行して節税せよ~年200万円の現金を作ったノウハウ~」をご覧ください。

国税OB税理士による税務調査対策グループ
問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所

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