勤務医は会社設立で節税せよ

医療現場

Q 勤務医をしていますが、所得税が高すぎるので、何とか節税したいと考えています。いい方法はありますか。 

A プライベートカンパニー(MS法人)を作って、節税しましょう。

 お医者さんは高給取りですから、当然所得税が高いですよね。年収の3分の1以上税金で持っていかれるという勤務医も少なくありません。

 そこで、資産管理会社としてプライベートカンパニーを作るという方法があります。
 いわゆるMS法人(メディカル法人)を作って、勤務医をしながら、その法人の社長に就任するのです。

 ただ、勤務医として稼いだ金をそのまま自分のMS法人に振り込んでもらって、売り上げ計上するというのはダメです。
 勤務医の所得は基本的に給与所得になるからです。

 つまり、給与所得とは、時間や場所が決められており、診察用具なども医療機関から支給され、医師は自分以外の代替えがきかず、毎月決まった金額が振り込まれるようなものを指します。ズバリでしょ?

 時間は自由で、自分で診療用具を準備して、誰に代診頼もうが自由なんて勤務医はまずいないでしょう。
 とすると、実態として医療機関に雇用されているから、それって給与でしょ?医療機関は源泉所得税を課税する必要がありますよね?と税務署から指摘されちゃうんです。

 なので、次の一手。医師はMS法人から派遣されてきたということで、医療機関からMS法人に振り込んでもらうというかたちにする。
 でも、医療機関に医師を派遣するっていうのは、お試し勤務や産休・育休の代替派遣以外は禁止されているんですね。医療機関に医師を派遣すること、そのものが禁止されているんじゃなく、診察や手術などの医療行為のために医師を派遣することが禁止されている。

 ここが盲点ですね。

 じゃあ、診察や手術以外の「病院経営のアドバイス」や「診療報酬の指導」「医薬品の選定指導」「スタッフの教育指導」なんて名目ならいいんですよね?
 いいんです!

 そこで、医療機関にこうお願いしてみましょう。

  • 診察や手術の報酬は、給与として源泉課税して、個人口座に振り込んでください
  • 診療報酬の指導などの報酬は、MS法人に振り込んでください(法人に対する支払なので、源泉所得税はひかなくてよい)

 その上で医療機関をMS法人との間で「業務委託契約書」を交わすのです。診療報酬及びスタッフの教育指導について、業務を行なった場合については、その成果に応じて委託料を支払うと契約書にうたってください。変に毎月定額にしたり、報酬とか書いたりしないでくださいね。給与の匂いは消してください

 このやり方は、同じお金を支払うなら、別にどっちでもいいですよと医療機関が柔軟に対応してくれないと、できません。なぜなら、医療機関側も税務署から源泉課税をされるリスクがあるので、そのあたりをきちんと打合せして、医療機関が納得してくれないといけないからです。

MS法人に割り振る報酬の注意点

  最後に、MS法人へ割り振る報酬をいくらにするか、という問題。いくらでもいいってことはないんです。注意点は2つ。
一つは、金額に妥当性を持たせること。もう一つは消費税の問題。
妥当性というのは、その病院経営のアドバイス料などが他社(他者)と比べて高すぎる設定にしないということですね。医療機関の税務調査の際に、その取引の妥当性を疑われたくない。
MS法人っていう形態は、勤務医の場合は、先に挙げた役割(アドバイスや指導)が最も使えますが、病院の理事長が節税する場合はこの役割以外にも使えます。
医療機器のレンタル・リースや経理業務、不動産賃貸などなど。
そのいずれもが税務調査の際に「ちゃんと実態ありますか?」ということを確認されます。その理論武装をきちっとしておくってことです。

 そして2つ目。医療機関から受け取るMS法人の報酬は外注費扱いなので、受け取る側はMS法人では消費税法上、課税売上になる。1500万円を受け取れば、多少の経費があっても136万円の消費税を支払わなくてはならない。所得税を圧縮しても、消費税を支払っていては、何をしていることやら。
したがって、MS法人で受け取る報酬は免税事業者となる1,000万円以下とするか、あるいは1,000万円を超えて5,000万円以下とした上で「簡易課税制度選択届出書」を提出する。
消費税の簡易課税制度というのは、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができるんです。まさに簡易的に売上げにかかった消費税から税金を決めてしまう制度なんですね。
簡易課税制度を選択すれば、アドバイスや指導っていうのはサービス業なので、第五種事業に該当します。
業種ごとに売上げにかかる消費税に決まった割合を掛けて、仕入れにかかる消費税を決めますから、サービス業の場合、それが50%(みなし仕入れ率と言います)。この制度を利用すれば、経費がすべて人件費や減価償却費といった仕入税額控除にならないものばかりでも、消費税は半分にすることができるんですね。

所得税と消費税を税理士にシミュレーションしてもらう

これをシミュレーションしてみるのです。この作業は税理士のような専門家にしてもらうのが良いでしょう。
これまで勤務医として3,000万円もらっていたが、報酬は半額の1,500万円に減らし、残りはMS法人に1,500万円振り込ませるとする。
まず、ドクターの所得税
報酬3,000万円の時の源泉所得税は820万円。
報酬1,500万円になれば源泉所得税は235万円。
次にMS法人の消費税
消費税は課税標準額は1,363万円(税抜)で、対応する消費税は136万円。簡易課税なら課税仕入がみなし仕入れ率が50%なので控除税額はその半分の68万円。支払うべき消費税は68万円。所得税は585万円節税で消費税は68万円増加。
MS法人にどのような経費(人件費や交際費など)を計上するのかにもよりますが、後は法人税・地方法人税などをシミュレーションして節税効果が高ければGO!でしょう。

国税OB税理士による税務調査対策グループ

問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所

 

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