クリニックは、概算経費で節税せよ

ドクター

Q 昨年6月に内科クリニックを開院したのですが、友人から概算経費にした方が得だぞとアドバイスされました。概算経費とは何ですか?どのように計算すれば良いのですか。 

A 年の途中で開院する場合は概算経費の特例を適用した方が節税できる場合があります。

 開院の年が1年に満たない場合、あるいは、開院から社会保険診療報酬が5,000万円以下である間については、医療機関独特の税制の一つである概算経費の特例を適用できる場合があります。これは、租税特別措置法第26条に規定されているのですが、実際にかかった経費と概算で計算した経費のどちらか有利な方で確定申告をして良いことになっているのです。

 概算経費を適用できる要件は社会保険診療報酬が5,000万円以下であること

概算経費でシミュレーションしてみよう

 概算経費の金額は、以下の速算表で計算することができます。
医療法人 概算経費

 あなたの経営する内科クリニックの場合、概算経費はいくらになるか検討してみましょう。
医療法人 概算経費 例題

 計算手順は

⑴実額経費の金額を計算する

 ①必要経費を区分する
まず、必要経費のうちに自由診療に係る金額を抽出します。

 具体的には明らかに自由診療に係る経費として区分できる経費を個別に抽出して、残額を社会保険診療と自由診療に共通する経費(以下「共通経費」という)として区分します。
 ②共通経費を按分する
区分した共通経費を収入の割合を基準に区分します。その際、診療科目に応じて収入の割合に以下の調整率を乗じます。

概算経費の調整率
概算経費の計算手順
概算経費 手順グラフ

⑵ 概算経費の額を計算する

 速算表を用いて、概算経費を計算します。今回の場合は社会保険診療報酬の金額は4,000万円ですから、社会保険診療報酬に対応する概算経費の金額は次の通り。

4,000万円×62%+290万円=2,770万円

⑶ 実額経費と概算経費の比較検討

 これらの計算結果から、実額経費の場合の所得と概算経費の場合の所得を比較します。
概算経費 例題結果

  比較した結果、実額経費の場合の所得は2,500万円、概算経費の場合の所得は1,639万円となり、概算経費の適用を受けた方が節税になることが分かりました。
 この差額の861万円については、青色申告書決算書の「措置法差額」欄に記載します。

 どうでしょう。かなりの節税になることがお分かりいただけると思います。

国税OB税理士による税務調査対策グループ

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