その後の半沢直樹★10年後、半沢は頭取に?帝国航空は?

その後の半沢直樹★10年後、半沢は頭取に?帝国航空は? 叫ぶ半沢

ドラマ「半沢直樹」が終わり、半沢ロスに陥っておられる方も多いのではないでしょうか?
最終回のラスボスの幹事長・箕部vs半沢の闘いは、見ごたえがありましたね。
半沢直樹エピソード3 半沢VS箕部
(TBSテレビ・日曜劇場「半沢直樹」キャプチャー画像より引用)

ドラマで描かれた帝国航空再生タスクフォースによる銀行への債権放棄。半沢のバンカー生命を賭けた告発により、銀行は債権放棄をせずに済みました。
「半沢、よくやった!」と視聴者の皆さんは溜飲を下げたことでしょう。

このドラマで描かれた世界は、実は2010年(今から10年前)の民主党・前原国土交通大臣による「JAL再生タスクフォース」がモデル。
ということは、10年後の現在はどうなったか?という答えがすでに分かっているわけです。
銀行が債権放棄をせずに済んだドラマと現実は異なります
もし、ドラマの内容が現実だったら、10年後の現在、航空会社はどうなっていたか?半沢は?

半沢の銀行はどこの銀行だ?

まず、半沢の勤める東京中央銀行って、どこの銀行のことなんだ?赤いマークからすると、三菱UFJ銀行?
答えは、三菱UFJ銀行とみずほ銀行で行われたことがミックスされています。
シーズン1で黒崎検査官が地下倉庫に隠された検査書類(いわゆる『疎開資料』)を暴こうとするシーンのモデルはUFJ銀行。
銀行の内部告発を受けて、金融庁が不良債権に係る資料を見つけ、その結果UFJ銀行は東京三菱銀行に飲み込まれます。
半沢直樹 疎開資料
(TBSテレビ・日曜劇場「半沢直樹」キャプチャー画像より引用)
そして、シーズン2では帝国航空のメインバンクとして債権放棄を迫られます。
白井大臣とタスクフォースの乃原弁護士から債権放棄を迫られた半沢は3番手、4番手の銀行が「主力および準主力銀行に従わせていただきます」と明確な答弁を避ける中で「債権放棄を拒否します」と啖呵を切ります。
半沢直樹エピソード3 債権放棄を拒否
(TBSテレビ・日曜劇場「半沢直樹」キャプチャー画像より引用)
JALのメインバンクは「みずほコーポレート銀行」でした。

2010年の現実

半沢直樹 タスクフォースの現実とドラマ

私は2005~2007年頃に金融庁で検査官をしていました。それもみずほグループの。
当時から金融庁ではJALへの融資を問題視していたので、これが不良債権か否か議論をみずほコーポレート銀行の行員と侃々諤々やりあいました。
その後2008年にはリーマンショックでJALの資金繰りはさらに悪化します。
日本政策投資銀行などからの追加融資でJALは何とか経営をしている状態で、自民党も有識者委員会を立ち上げ、処理をどうするかを議論していました。そんな中、自民党が民主党に敗北し民主党政権が誕生します。
民主党の前原誠司国土交通大臣は「有識者委員会は白紙撤回し、JAL再生タスクフォースを立ち上げます!」と宣言します。
タスクフォース???
これは完全に前原氏の私的機関で、何の権限も法的根拠もないチームでした。
銀行とタスクフォースはドラマさながらに相当モメましたが、結局、政府系の日本政策投資銀行が1,421億円、メインバンクのみずほコーポレート銀行が566億円など計3,830億円の債権放棄を銀行側が飲むことになります。

現実には銀行は債権放棄に応じた

銀行そして株主が泣くことにより、JALは一旦破綻します。
借金を払わなくてよくなったJALは、京セラの稲盛和夫氏をCEOに迎え入れ、再生に向かって走り始めました。
半沢直樹エピソード3 JAL 稲盛和夫
JAL再生に乗り出す稲盛和夫氏
安全が一番大事だから、利益なんて追わなくていいのよ~といった社風だったJALを稲盛氏は「利益なくして安全なし」の精神を社員に叩き込み、不採算路線の休廃止、社員48,000人のうちの16,000人を退職させるなどのリストラを断行します。
リース機を含めた航空機の数を減らすなどのコストカットも奏功し、見事に再生。2010年3月期には1,337億円の営業赤字でしたが、翌年には2,049億円の営業黒字を計上するなど、凄まじいV字回復を成し遂げ、ついに2012年9月、JALは、約2年半ぶりに再上場を果たします。

2020年コロナ禍の中のJAL

それから8年の年月が流れ、2020年に世界をコロナ禍が襲い、観光旅行業界を直撃。特に航空業界は9割以上の客を失うことになり、大打撃を被ります。
しかし、一度破綻を経験したJALは資金繰りの重要性をどこよりも分かっていました。コロナ初期とも言える6月までに社債発行(200億円)、銀行借入(2,100億円)、航空機の売却と売却後リースバック(600億円)などにより、なんと3,000億円規模の資金調達をします。
2010年に銀行からの借入金を返さなくていいと言われ、経営体質が良くなったばかりか、社風も変わりました。そのおかげで、このコロナ禍でも当面大丈夫という結果になったと言えるでしょう。

ドラマ半沢直樹における帝国航空のその後

ドラマでは、土壇場での半沢の1000倍返しにより、東京中央銀行は債権放棄を免れます。
悪徳政治家・箕部をやっつけるシーンは胸がすく思いでしたね。悪徳すぎましたからね(笑)。
半沢直樹 大和田のふあーっ?返し
謝罪する箕部
(TBSテレビ・日曜劇場「半沢直樹」キャプチャー画像より引用)
反面、帝国航空は5,000億円以上もの借金を背負ったまま、事業を継続することになります。
半沢が提案した「大幅な路線削減を人員削減、機材削減」を実行するものの、やはり借金返済は大きく経営を圧迫します。
少しずつ借金を減らしていったものの、リース航空機の比率は30%以上と高いままで、経営が安定するところまではどうしても到達しない。
そんな中で2020年のコロナ禍を迎えます。
もともと大きい銀行借入をしているため、追加融資の出足も遅れます。加えて、リース航空機の割合が非常に高い。航空機が飛ばなくてもリース料という固定費だけは出ていくことになります。
2020年年末までは雇用調整助成金などで綱渡りの資金繰りをしていましたが、ついに2021年3月、帝国航空は破綻することになります。

10年後の半沢

ドラマで描かれた時点(2010年)の銀行(メガバンク)はどうだったか。
当時の銀行は、合併してもう10年以上経つというのに、いまだ出身行別の派閥争いが生きていました。
東京中央銀行の場合、行員は出身行ごとに互いを旧T(東京第一銀行)、旧S(産業中央銀行)と呼び合っていました。
旧Tには中野渡と紀本、旧Sには半沢や渡真利、大和田がいます。
半沢直樹 旧Sと旧T 派閥争い ドラマと現実
これは現実の世界でも同じ。私が金融庁で検査を担当したみずほグループの場合、日本興業銀行、第一勧業銀行、そして富士銀行の3行が合併したため、その出身行意識は相当なものでした。
出身行のバランスを重視するあまり、みすぼグループは、みずほフィナンシャル・グループという持ち株会社の下にみずほ銀行(個人・中小企業向け)と、みずほコーポレート銀行(大企業向け)がぶら下がる2バンク制度を取り入れました。
旧3行の出身者が3トップを分け合えばうまくいくだろうとの発想でしたが、実際は旧行間の縄張り意識が温存されたままで、そのギクシャクが検査官にも分かるほどでした。
例えば、検査の際、支店長が検査官に説明する機会があるのですが、日本興業銀行出身の支店長は「私は興銀出身なんですが…」と必ず枕詞をつけて自己紹介していました。「俺は他の2行出身者と違って優秀なんだぜ」と言いたいのでしょう。どこ出身かなんて聞いてないって…。

 先ほども触れましたが、タスクフォースで描かれた東京中央銀行はみずほ銀行、そして産業中央銀行は日本興業銀行のことを指し、東京第一銀行が第一勧業銀行を指しているのは、間違いないでしょう。
旧行時代の半沢の名刺
上が興銀のロゴ、下が第1シリーズ第7話で出てきた半沢の旧行時代の名刺。
ロゴからしても産業中央銀行が興銀で間違いありません。半沢も「私は産業中央出身なんですが…」と自己紹介するのでしょう(笑)。

営業第二部 第一グループ 次長の半沢はドラマ時点の12月8日に50歳を迎えます。大和田失脚の後、半沢はおそらくルートからすると、小規模支店の支店長に昇格するのでしょう。
ただ、頭取に「1000倍返しだ!」と盾突く無鉄砲ぶりですから、順調に出世するかどうか…
半沢直樹シーズン3があるとしたら、今から10年後あたりでしょうか。次長半沢は頭取半沢になって戻ってくれば、「島耕作」みたいで面白いでしょうね。
その頃には合併前時代に入行した行員は40代以上となり、その時代を全く知らない行員が多くを占めるようになるでしょう。
シーズン1で大和田の不祥事に目をつぶってまで、中野渡頭取が目指した行内融和の仕上げを半沢がすることになるかもしれません。
半沢直樹エピソード3 半沢と大和田ラストシーン
(TBSテレビ・日曜劇場「半沢直樹」キャプチャー画像より引用)

対して、融資部企画グループ次長の渡真利忍は、「人事が全て」の情報通。
半沢よりも世渡りがうまいため、半沢よりも順調に出世するかもしれません。
50代半ばでバンカーの中でも上位1~2%しかなれない執行役員くらいまで昇る可能性もあるでしょう。
半沢直樹 エピソード3 涙する渡真利
(TBSテレビ・日曜劇場「半沢直樹」キャプチャー画像より引用)

正義とは

ドラマでは、半沢直樹が主役ですから、銀行にとっての正義が描かれています。
しかし、半沢がとった行動により、ナショナルフラッグ・日本航空が、このコロナ禍で立ち行かなくなる可能性は非常に高い。しかも、コロナ禍は突然にやってきたため、何の準備もできていません。
ドラマはホントに素晴らしく、私も大満足でした。
しかし、銀行にとっての正義が世の中の正義であるとは必ずしも言えないということを最後に付け加えておきます。
半沢直樹エピソード3 不敵に笑う半沢
ラストシーンの半沢の不敵な笑み。続編を予感させましたね。

なお、金融庁・黒崎検査官ファンの方は「黒崎統括検査官はキャリアかノンキャリアか」をご覧ください。
半沢と大和田の1000倍返し
1000倍返し完結!!

問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所

国税OB税理士による税務調査対策グループ

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