Q これから開業するにあたり、ネットバンクをメインバンクにすることを検討しています。大手行は取引してくれそうにありませんし、全てネットで済ませられるメリットがあると思うのですが、どう思われますか?
A ネット銀行をメインバンクにするのは避けた方が無難です。
現在、金融機関そのものが本業赤字で、再編が加速しているという状況なのは、新聞などでご存じの方も多いと思います。
これまでメインバンクにしてきた金融機関が合併・統合となることも多く、メインバンクを考え直さなくてはならないと悩む経営者を何度も見てきました。
こうした流れの中で、ネット銀行をメインバンクにしようと考える経営者は少なくありません。現在は1000社に1社しかネット銀行をメインバンクにしている企業はありませんが、少しずつ増えてきています。
ネットバンクのメリット・デメリット
メリット
まず、メリットとして挙げられるのは、手数料が安いこと。
大手行の半分程度の手数料で振込みができます。買掛金や経費の支払いのほとんどが振込みでしょうから、これは大きな支出削減につながります。
次に、定期性預金の金利水準が高い。リアル店舗を持つ金融機関が0.01%であるのに対し、ネット銀行は0.2~0.3%と全く違う水準です。
加えて、ネットで全てが完結するということも、面談などを煩わしいと感じる若手世代には魅力でしょう。
デメリット
では、デメリットは何でしょう。
メリットにも書きましたが、リアル店舗がない、ということは面談ができず、経営の相談、融資の相談など、細やかな対応はしてくれないということです。
これが最大のデメリットでしょう。
次に、融資額の物足りなさ。ネット銀行の融資上限額は1000万円~3000万円のところが多く、開業時にはそれくらいで問題なくても、企業の成長過程では3000万円以上必要になってくることが多いのです。さらに融資の金利水準も地銀などに比べて割高であることが多いですね。
メインバンクの話から少しそれますが、ネット銀行しか取引がない会社も最近増えてきています。
これは設立間もない時に、信用がないため、会社名義の銀行口座(都市銀行や地方銀行)が開けないという問題からネット銀行を開設し、そのままになっているというパターンが多いですね。
しかし、ネット銀行しか取引がないというのは先述したとおり、リスクが高いことに加え、
①ダイレクト納付ができない(法人税や源泉所得税の納付を銀行口座を紐付けることで、簡単にネットから出来るダイレクト納付に対応していない)
②経営セーフティー共済(取引先倒産時に事業資金を借り入れることができる共済制度)に入れない
何が言いたいかと言いますと、実際はお金を共済口座に預け入れているだけなのに保険料という経費扱いにできる、つまり有効な節税策が使えない
こうしたデメリットもありますので、リアル店舗を持つ銀行との取引はしておいたほうが良いでしょう。
相談も融資も不要ならメインをネット銀行にしても良い
ですから、現状ではネット銀行をメインにするのは使い勝手という意味から避けた方が無難です。
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