風俗店は脱税するのが当たり前?どのくらいしたらバレる?

風俗店の脱税はバレるか?

Q 風俗店(デリヘル)を経営していますが、正直かなりの額を脱税しています。いつか税務署が調査にやってくるのではと気が気ではありません。どのくらい脱税したらバレますか。

A どのくらいという金額はありません。税務調査時の対応によって異なりますが、バレることが多いです。

風俗店の税務調査は、私自身が相当数行いました。その経験からすると、脱税規模が大きくなればなるほど、当然目立ちます。風俗業は国税局で指定する重点調査業種(不正が多い業種なので、重点的に調査に行けという業種)ですので、税務署で必ず年に〇件は調査するようにといった指示があります。

税務署で調査選定をする際には、

  1. 儲かっている店か
  2. 店の規模はどうか
  3. 申告所得は1、2を考慮した場合にどうか

これらを総合的に検討し、一番脱税額が多いだろうという店に目星をつけ、インターネット情報を検索し、「内偵調査」に入ります。内偵調査というのは、実際に調査官が客のふりをして、店を何回か利用する調査手法です。
ヘルスのネット情報
(ネット情報は必ずチェックする。いつ誰が出勤しているか、№1は誰か、割引情報、追加オプション、カード決済の有無など取れる情報は全て取る。)

内偵調査から事前通知なしで着手

内偵調査では、受付でホステスを選ぶふりをして、ホステスが何人出勤し、現在誰が客対応しているかなどを確認。お金を払う際には、払った現金の管理状況などをつぶさに確認します。
プレイ中もホステスに「何時に店に来て、帰るの~?」「控室とかどうなってるの~?」なんていう質問をそれとなくして、様子を探ります。
気持ちよくなっているヒマはありません!仕事です!
調査は内偵調査だけではありません。「外観調査」といって、店の前でホステスの出勤状況や控室の場所、客数のカウントなどを行います。
これは、なかなか根気のいる作業ですよ。
こうした調査の結果をもとに、一日の売上げを推計⇒一か月の売上げを推計⇒一年の売上げを推計した結果、年間推計売上げは3億円なのに、申告上の売上げが1億円だと、一年で2億円売上げを抜いているじゃないか!となるわけです。

実際に調査をする場合は事前に通知をせずに突然、店や代表者の自宅に行き、店では伝票類やリスト表、予約表、本指名本数表などを確認し、代表者の自宅では代表者の調査への了解を取るともに、銀行通帳の確認などを行います。

調査では何をチェックするか?

実際の調査現場では、どのように確認を行うか?
ホテヘル(ホテルヘルス)などの場合であれば
・調査官自らが内偵調査で受けたサービスの売上げがきちんと計上されているか?
・調査官が依頼した延長サービスや追加プレイがきちんと売上げに計上されているか?
ホステスからのバック(備品使用料など)がきちんと雑収入に計上されているか?
リスト表(嬢ごとの売上げ表)に記載があるホステス1名の売上げがまるまる計上されていない、なんてことはないか?
予約帳には記載があるのに、その客の売上げが計上されていない、なんてことはないか?
売上げ管理システムのデータには真実の売上げを登録しているが、21時以降の売上げを税務署提出用の売上帳には記載していない、なんてことはないか?
・提携しているラブホテルと使用料の精算をしているが、その利用回数より売上げの本数が少ない、なんてことはないか?
・営業成績上位のホステスには翌月取り分率がアップしている(女子給のバック率は毎月異なる)が、営業成績上位のはずが見合いの売上げが先月の売上げには反映していない、なんてことはないか?
本部に報告しているメールに本数(客数)と売上げが書かれているが、売上帳にはその半分しか計上されていない、なんてことはないか?
・「月集計で翌月からのホステスへのバック率アップ」や「指定本数(客数50名など)以上は報奨金、特に月間1~3位には特別報奨金」を支払う場合が多いが、ホステス同士の競争心をあおるために控室に張り出された本数表や棒グラフと売上げは一致しているか?
などなど
風俗嬢 ハッパかける先月本数
(ホステスの控室に貼ってある本数実績チラシ)
こうして把握した矛盾点から、脱税額を指摘し、修正申告を提出するよう代表者に求めるというのが、大体の流れです。
デリヘル(デリバリーヘルス)などの場合は、ホステスの送り迎えをするドライバーの売上回収表やデリヘル電話受付表をチェックする、なんていうのも調査官の基本動作の一つです。
電話受付表を税務署用と真実用の2パターン作ってるんですね。
調査官は税務署用に作成したものを見せられるわけですが、ドライバーの売上回収表はメモみたいなもんですから、真実の売上げを書いている。これには21時の客から23,000円回収と書かれているのに、電話受付表にはその事実が書かれていない。
1日で23,000円の売上げ除外
調査対象3年なら⇒23,000円×350営業日×3年=24,150,000円の売上げ除外約1,000万円の追徴課税がくることになります。
風俗嬢への事前聴き取り票
店がホステスにどのようなプレイが可能かなどを聴き取るためのシート
このシート1枚からでも、ポイント制度や遅刻・欠勤罰金制度の有無、ホステスからのバック(備品使用料など)の割合が分かる。

税務署は、あらゆるモノから矛盾点を見つけ出す

 私は調査官時代、滋賀県大津市の雄琴温泉や神戸市兵庫区・福原の歓楽街のソープランドやヘルス店への税務調査を何度もしましたが、社長と実質経営者が違うことが大半でした。
社長は実質経営者の部下に過ぎない(これは、税務対策というよりも、警察対策でパクられるのを避けるためですね。)。
したがって、実質経営者への金の流れを炙り出す調査になる。しかし、彼らも学習しているので、そう簡単に尻尾は掴ませません。

福原への税務調査の時には、初日の調査が終わってソープランドから出てみると、玄関前にソープランドの同業者が20人くらい列をなしていました。
こいつらが税務調査官やから、同業者のみんな、顔を覚えとけよ」というわけです。同業者同士で連携を取って、税務調査官の顔を覚え、調査官が内偵調査に来たらすぐに分かるようにしているんです。
内偵調査に来ても顔バレしているからな!」と税務署にプレッシャーをかけているんですね。面白いでしょ?
税務調査の風景2

現在はもう使われていない手法ですが、ソープランドの調査では水道の使用料から売上げを逆算していました。
客一人につき、風呂を1回満杯にする。客一人で風呂水250リットルを使う。
水道料金11万円から逆算すると、6月は400人の客が入ったと推計される。
調査官「社長、使った水道の量やリネン業者に払ったタオルの枚数から換算したら、客数は1ヶ月400人。客単価は3万円やから月1,200万円の売上げがないとおかしいやないか。なんで計上された売上げは600万円ですの?」
社 長「ウチは客一人に2回、風呂を入れ直しますねん。そやからちゃいますかねぇ。」
調査官「そんなことあるかい!オレは4回客として通ったけど、毎回風呂の湯は1回しか溜めてなかったわ!」
こんな新喜劇のようなやり取りをしていましたね。

正直に言って、風俗店でまともに申告している業者を私は見たことがありません。
大なり小なり、問題点があり、私が調査した事案については、すべての事案で修正申告をしていただきました。

脱税の規模が大きく、溜まり(代表者や愛人の預貯金など)が大きい場合は、マルサに入られる(告発されると、塀の向こうに落ちる)リスクが高くなります。

初めからマルサに入られる場合は、強制調査になりますので、調査当初の対応はされるがままになりますが、それ以外の国税局資料調査課や税務署の調査の場合は、調査時の対応によって結果が大きく変わる場合が少なくありません。

調査官の能力、対応する税理士の能力・交渉力によって左右される部分が非常に大きいと言えます。

国税OB税理士による税務調査対策グループ問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所

 

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