Q 先日、マルサ(国税局査察部)の調査を受けました。突然のことだったので、どのうように対応すれば良かったのか、いまだに分かりません。質問検査に対して黙秘することはできたのか、税理士に連絡することはできたのかなどを教えていただますでしょうか。
A マルサの調査において、黙秘することはできます。
国税局査察部は、他の国税局資料調査課や税務署が行う調査とは全く別の動きをしています。通常の税務調査が任意調査(納税者の協力のもとに進める調査)であるのに対し、査察部調査は強制調査(裁判所の令状を携え、強制的に会社や自宅、関係先から書類を押収し、告発までもっていくことを目的とする調査)です。
犯則嫌疑者(査察の調査を受ける納税者)に対する質問検査は国税通則法131条に定められていますが、これに応じる義務は規定されていません。
さらに、平成29年度税制改正前は、罰則規定がありました(国税犯則取締法19の2)が、改正によってその罰則規定は削除されました。つまり、犯則嫌疑者は出頭を求められても応じる義務はなく、出頭した場合にも質問に答えるか否かは任意であり、さらに、途中で自分の意思で帰ることもでき(注)、そのような対応をとっても罰則はないのです。
なお、犯則嫌疑者とされた者は、自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項についても供述が求められることから、この質問検査については黙秘権の保障が及ぶと解されています。
マルサの調査に黙秘権はあるが、税理士は同席できない
あなたは犯則嫌疑者になったわけですが、いつでも自分の意思で、査察官等と面談している部屋から自由に出ていくことができるので、税理士をその場に同席させることはできません。ですから、私が顧問税理士であれば、質問検査をされている部屋の外で待機し、あなたに対して「不安があればいつでも出てきてください。」と電話で告げることになると思います。
(注) 明文規定はありませんが、刑事訴訟法198条1項但書「被疑者は、逮捕又は拘留されている場合を除いては、出頭を拒み、または出頭後、何時でも退去することができる」と同様に解されているためです。
いくら脱税したら、マルサに入られるのかについては、「マルサ(国税局査察部)の金額基準はいくらか」をご覧ください。
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