Q サラリーマンをしています。私はこれまでマイカー通勤をしていましたが、このコロナ禍で在宅勤務(テレワーク)になりました。これまで通勤手当の源泉所得税は非課税でしたが、在宅勤務手当は源泉所得税はかかりますか?
A 基本的には、源泉所得税が課税されます。
コロナ禍で、これまで当たり前だった遠距離通勤や通勤ラッシュという概念が過去のものになるかもしれません。
会社に来て働かなくても、ネットで会議も商談もできるってことに気づいてしまったわけですから、この流れはコロナが収束しても、続きそうですね。
さて、これまで会社まで通勤すると、通勤手当が会社から支給されていましたよね。
通勤手当は、一定金額(非課税限度額)を超えた場合は源泉所得税が課税がされることになりますが、通常は会社の旅費規程などで所得税法のルールをそのまま適用している場合が多いので、基本的に非課税でした。
そのルール(非課税になる場合)は所得税法ではこのようになっています。
① 公共交通機関を利用する場合、1か月15万円以下
② 車やバイク、自転車まどを利用する場合、以下の非課税限度額まで
③ 定期券を利用する場合、1か月15万円以下
④ 上記の複数を組み合わせている場合、1か月15万円以下
たまに、遠距離通勤で新幹線を使いたい!という要望が会社に受け入れられ、会社からこの限度額を超えて支給してもらって、超えた分については源泉所得税が天引きされているって方もおられますね。
通勤手当に代わり在宅勤務手当に
あなたの場合、テレワークに切り替わったということは、会社まで通勤しなくて良くなったわけですね。
したがって、通勤手当はもらえない。その代わり自宅で働くわけですから、電気代やガス代なんかはかかっています。そのかかった電気代などを会社が負担してあげましょうという意味合いで支払われるのが在宅勤務手当です。
通勤手当が非課税なのは、実費負担だからなんですね。会社員が支払った定期代を会社が負担しているので、会社員は何も得していないですよね。得したわけでもないのに、所得税かけるのはおかしいよねって理屈です。
じゃあ、在宅勤務手当はどうでしょう。
「電気代とかかってるんだから非課税だろう!」
そうなんですけど、じゃあどれだけかかったんですか?
電気代って一緒に生活している子供も使ってますよね。自宅のwi-fiを使ったって、いくら分を使ったか、はじき出せますか?
これは難しいですよね。こうしたことから、実費負担の実費がいくらかを会社側も把握できない。
通勤手当のように税法でルール化してくれればいいんですけど、なんせ新しい概念ですから、税法が追い付いていないんですね。
私見ですが、国の財政状況が厳しい現状では、そのような新ルールを積極的に国税庁が作るとも思えません。
なので、現状では源泉所得税が課税されると考えた方がいいでしょう。
仮に通勤手当と同じ金額が在宅勤務手当として会社からもらえるなら、その手当に係る所得税が増税ということになります。
例えば、お子様が一人で奥様も共働きといった家庭であれば、700万円プレイヤーで3万円程度、1,000万円プレイヤーなら4万円程度の増税です。
手当切り替えの際の会社の注意点
源泉所得税の増税をきちんと会計ソフト上で反映させようと思えば、会社は在宅勤務者の通勤手当をゼロにした上で、在宅勤務手当という項目を各種手当欄に追加する必要があります。
決して通勤手当欄に在宅勤務手当を入力することのないように注意する必要があります。在宅勤務手当分の所得税がゼロのまま処理されてしまうからです。
こういうところを税務調査でチェックされることは間違いありません。
また、テレワークを初めて導入する会社が大半でしょうから、テレワークを実施するにあたり発生する費用を整理し、手当の支給方法、精算方法について検討・ルール化し、書面に残しておく必要があります。
なぜ書面に残しておく必要があるか?
水道光熱費やネット料金、事務用品費、郵送費など、業務で使用するものは企業負担が原則です。
テレワークをする社員は、これまで出社して働いていた形態と勤務形態が大きく違うため、会社側はテレワークによって生じた経費をはじめ、機器の貸与や労働時間管理、在宅勤務の頻度や期間などの詳細を規定した雇用契約書や在宅勤務規程がないと、トラブルのもとになります。会社側は、それぞれの経費に正当性があるかを判断し、負担割合を決めて支払うのか、在宅勤務手当の中にあらかじめ経費を含めたうえで支給するのかを、社員と話し合って決めておき、それを必ず書面に落とし込んでルール化する。
すべての従業員に該当することは就業規則に、労働者によって異なることは雇用契約書などに盛り込んでおくとよいですね。
10人未満の会社や個人事業の場合は、就業規則を作成する義務が法律的にありませんので、その場合は、労働契約書が特に重要になってきます。テレワークを始める前に、条件を書面できちんと提示し、企業側も社員側も共に納得したうえでスタートすることが大切です。あわせて、労働基準監督署にその届出をすることも忘れてはいけません。
詳しくは、テレワークにおける適切な労務管理のガイドラインが厚生労働省から出ていますので、参考にしてみてください。
手当が減れば、税も社会保険料も減る
先ほどは、在宅勤務手当が通勤手当と同額もらえる場合の話をしましたが、おそらく多くの会社では在宅勤務になれば、そこまで実費はかからないだろうということで、この手当が減額される可能性が高い。
そうなれば、源泉所得税は先ほどの理由で少し増税になりますが、健康保険料や厚生年金保険料は減額になります。
健康保険料などは、給与だけではなく、通勤手当などの手当を含めて計算するため、手当の名目が違えども金額が減れば、保険料も減ります。
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