年金生活の親を扶養に入れ忘れてない?令和8年分トクする確定申告~税理士が教えてくれない裏技

年金生活の親を扶養に入れ忘れてない?

Q 私はサラリーマン(年収800万円)をし、妻もパート(年収130万円)をしています。妻の母は77歳で、我々とは同居しており、年金暮らしをしております。収入と言えば、父親の遺族年金と母自身の基礎年金が年70万円ほどです。扶養親族に入れることはできますか?過去からずっと扶養親族に入れていませんでしたが、過去にさかのぼって確定申告することができるのですか?
また、扶養親族に入れることで不利になることはありますか? 

A 奥様のお母さまでも、経済的にサポートしているなどの条件を満たせば、扶養にいれることができます。また、過去5年にさかのぼって確定申告をすることができます

子供を扶養に入れることを忘れる人はまずいませんが、親御さんを扶養に入れていない人は意外と多いですね
あなたの年収が仮に600万円なら、所得税と住民税あわせて一年で約10万円、800万円なら約15万円が還付されることになります

また、「現在は扶養の条件を満たしていないけれど、3年前は条件を満たしていた」なんていう場合でも大丈夫です
5年過去にさかのぼって申告することができます

過去に遡って還付を受けることもできる

「5年過去にさかのぼる」とは具体的には次の表のとおりです
あなたが確定申告をしていなければ、還付の確定申告ができますし、確定申告をしていれば、「更正の請求」という手段で還付を受けることができます

確定申告期限と還付申告または更正の請求書を提出できる期限

扶養控除で所得が控除されると言っても、子供と親とでは控除される額が違います
整理すると

扶養親族の種類

親の方が子より控除される金額が多いことがお分かりいただけますよね
税金がこれだけ減るということではなく、あくまでも所得がこれだけ減り、これに税率を掛けた分だけ税金が戻ってきます

親を扶養に入れられる条件とは

親御さんと別居されている場合は、親御さんの生活をサポートしていることが条件になってきます
税務署から調査を受けることはまずありませんが、仮に税務署から聞かれた場合は生活費をなるべく手渡しではなく、送金していることが証明できれば、それに越したことはありません

生活費の額としては、2020年の税制改正で国外にいる親族を扶養の対象とする要件の一つに「年38万円以上の生活費の送金」という文言が出ていますので、目安としてはそれくらい送金しておけば問題ないでしょう

扶養を受ける親御さん側の要件としては、年間所得62万円以下(令和7年は58万円以下)という条件があります
所得というとややこしいのですが、親御さんが給与のみをもらっている場合は給与収入年間136万円以下(所得62万円+給与所得控除74万円)(令和7年は123万円以下)
親御さんが年金をもらっている場合は

65歳未満の場合、年金受給額167万円以下

令和6年⇒108万円(年金受給額)-60万円(公的年金等控除額)=48万円(基礎控除)
令和7年⇒155万円(年金受給額)-60万円(公的年金等控除額)=95万円(基礎控除)
令和8年⇒167万円(年金受給額)-62万円(公的年金等控除額)=105万円(基礎控除)

65歳以上の場合、年金受給額227万円以下

令和6年⇒158万円(年金受給額)
令和7年⇒205万円(年金受給額)

令和8年⇒227万円(年金受給額)

もちろん、給与も年金ももらっている場合は、これらを合計した金額で判断します
例えば、親御さんが63歳で給与100万円と年金80万円もらっている場合

    • 給与所得の計算
      給与収入 100万円 - 給与所得控除額 74万円(令和8年改正後) = 給与所得 26万円
    • 年金所得(雑所得)の計算
      年金収入 80万円 - 公的年金等控除額 60万円 = 雑所得 20万円
    • 合計所得金額の判定
      26万円(給与所得) + 20万円(雑所得) = 合計所得金額 46万円

令和8年分の所得要件である「年間所得62万円以下」をクリアしているため、問題なく子の扶養に入れます
計算が分かりにくいという方は、シミュレーションするサイトに入力すれば一発で算出できます
給与所得計算シミュレーション
年金所得計算シミュレーション

ここまで、税金面での節税効果をお伝えしましたが、健康保険料の面でのメリットも見逃せません
親御さんが60歳以上75歳未満で、年収が年180万円未満であれば、親御さんが支払う健康保険料の負担が免除になります(75歳以上はそもそも被扶養者にはなれません)
※年収には給与や年金も含まれます
この年収が年180万円未満の「年収」の考え方も令和8年4月から緩くなっています
令和8年4月からの変更点:給与収入の判定が「契約書ベース」に

親御さんが年金だけでなく「パート・アルバイト」など給与も得ている場合、その給与が180万円の枠に収まるかどうかの判定方法が変更されました
    • 改正前(〜令和8年3月):直近3ヶ月の給与明細などから、総合的に「今後1年の見込み」を計算していました。
    • 改正後(令和8年4月以降):会社と交わしている「労働条件通知書」や「雇用契約書」に書かれた基本給や固定手当の金額から、機械的に向こう1年間の収入を算出します

この変更によるメリットとしては、突発的な残業や繁忙期の一時的な増収(契約書にない残業代など)によって、結果的に180万円をわずかに超えてしまっても、契約上の金額が180万円未満であれば、原則として直ちに扶養を外されることはなくなりました

 

社会保険上の扶養にするための必要なこと(書類)

この180万円未満という要件確認のための資料としては、以下のようなものが必要です
まず親御さんが所得税法上の扶養親族要件である合計所得金額62万円未満の方の場合は、「健康保険の被扶養者異動届」にある「事業主確認欄」に事業主に「確認」を〇で囲んでもらうことで、被扶養者の収入要件を勤務先(事業主)が確認したことを示したことになり、被扶養者の収入を証明する書類の提出が省略できます

税法の要件を満たさない場合は、年金額の改定通知書の写しや課税(非課税)証明書などが必要になります

親御さんが別居されている場合は、上記の書類に加え、実際に扶養していることを示すために仕送りしているかを確認されます
必要書類としては
親御さんの収入が仕送り額に満たないことを確認できるもの

つまり預金通帳等の写し(通帳の名義および振込日と金額のページ)などが必要になってきます
社会保険被扶養者認定(令和8年)

デメリットは?

最後に、親御さんを扶養に入れることによるデメリットを説明しておきます

唯一のデメリットは、親御さんが高額療養制度を受ける場合、その自己負担限度額が高くなることがあります
高額療養制度の自己負担額は所得に応じて限度額が決められる仕組みになっていますので、仮にあなたの収入が高い場合には親御さんの自己負担額も高額になってしまいます

これまで説明をしてきたメリットとデメリットを頭に入れながら、親御さんを扶養に入れるか入れないかを判断してください

問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所

国税OB税理士による税務調査対策グループ

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