失敗しない税理士の選び方★コロナ禍ではっきりした税理士の実力

電卓を持つ税理士

Q 弊社の顧問税理士は、申告書や決算書の作成はしてくれますが、こちらの要望に親身になってくれず、大した提案や節税対策もしてくれないため、税理士を変えたいと考えています。
税理士を変えるに当たって、注意すべき点や必要な準備、断り方について教えてください。

A 税理士の選び方やその際にしてはいけないこと、今の税理士の断り方などを順をおって説明しましょう。

税理士との付き合いは一生モノであることが多いですね。一度頼んでしまうと、なかなか変えにくいという現実があります。
数年数十年と税理士と付き合っていますから、それなりの人間関係ができてしまい、「来月からあなたと顧問契約を解消したいんです。」とはなかなか言いにくいですよね。
しかし、コロナ禍を契機として、かなりの人が「あること」に気づいてしまったんです。

うちの税理士は本当に大丈夫か?

コロナ禍では、持続化給付金や持続化補助金、家賃支援補助金など、国から多くの助成金が施策として発表されました。
藁をも掴む思いの社長は、周りの友人や仲間から色んな情報を得ます。
「EC販売するためのホームページ制作費用は『ものづくり補助金』ってのが出るらしいよ。」
しかし、こうした情報を友人からは得るけれども、税理士からは一切教えてもらえない。
「先生、申請に必要なんで、前年分の売上げと今年の売上げの対比表をpdfファイルでください。」とお願いしても、反応が遅かったり、
「紙なら出せるんで、そちらでデータファイルにしてもらえますか?」なんてITリテラシーが低すぎる対応であったり。
平常時ならそれでも良かったのでしょうけど、非常時になれば税理士の熱量、力量の差がはっきりと表れます。

そこで、多くの方が「税理士を変更したい。」と思うようになりました。
しかし、実際に変更するとなった場合に、どう探していいか分からないのが実情です。

税理士の探し方

他の社長はどうやって、税理士を探していると思いますか?
これは今も昔も圧倒的に「紹介」が多いんですね。
銀行の紹介、商工会議所の紹介、友達からの紹介…

やっぱり紹介してもらうってことは、「良い先生なんだろう。」という判断になることが多い。
次に最近はネットで探す方が増えてきました。ネットで経歴や紹介文を読んで決める。
しかしいずれの場合もリスクは残ります。

紹介してもらう場合は、この人と合わないかなと感じても、紹介した人の顔を潰すわけにはいかないと考え、断りにくい。
ネットの場合は、さらに判断材料が少ない。
新米税理士でやる気のある税理士に出会えれば儲けものですが、実力が無く客が付かないからネット頼みになっている税理士も少なくありません。
いずれにしても、まず、どのレベルの税理士を探すのか決めておくことが税理士を探す大前提になってきます。

格安で申告だけしてくれる税理士(レベル1~2)がいいのか
軽く相談に乗ってくれ、間違いない申告してくれる税理士(レベル3)がいいのか
節税提案や金融機関対策もしてくれる税理士(レベル4)がいいのか
上場やM&A、海外進出などを視野に入れた専門的知識を有する税理士(レベル5)がいいのか

税理士のレベル

そして、少なくとも3人くらいの税理士と何度か会って、困りごとや疑問点を聞いてみましょう。
その困りごとや疑問点にキチンと対応してくれそうか見極めることが大事です。
間違ってもすぐに報酬の話を持ち出す税理士は信用しない方がいいでしょう。

税理士ですから、税法の知識や決算・申告のスキルはもちろん重要です。
しかし、それだけで判断すべきものではありません。
あなたと税理士と合うかどうか、税理士の人間性はさらに重要な判断材料であることを忘れてはいけません。

良い税理士・悪い税理士とは?

よく「今の税理士は何も提案してくれないんだよね」と不満を言う方を見かけます。
では、一体具体的に何を提案してほしいのでしょう?
そもそも提案が必要な段階なんでしょうか?

例えば、売上高5,000万円未満の会社は、税理士の提案よりもまず、売上げを上げる努力をする方が先です。
そこは経営者の努力が問われる部分で、税理士どうこうの話ではありません。
売上げ規模もそれなりになり、手元資金がある程度できた段階で、税理士に次の一手を聞いてみる。

この質問に対して
「今、これをやっておいた方がいい。」
「今、融資を受けておきましょう。」
「こういう節税策をとりましょう。」といった有意義な提案をしてくれるのが、良い税理士と言えるでしょうね。

デキナイ税理士の見分け方

これから選ぶ方は、税理士に「得意分野を聞く」「最近の税制の改正はどのようなものだったかを聞く」などが判断する材料になるでしょう。
税理士にも得意分野があります。
これから法人の決算対策と並行して相続対策もしたい!というお考えの方は多いと思いますが、相続税に詳しい税理士はそう多くありません。
こうしたアンマッチを防ぐには、直接得意分野を聞いてみるのが一番です。
また、税法というものは毎年変わります。この改正についていけない税理士は、当然ミスも多いですし、お得なアドバイスももらえません。

では、あなたの今の顧問税理士がどのレベルの税理士なのか、判断するヒントをお教えしましょう。
あなたの会社の申告書・決算書をご準備ください。
デキナイ税理士は申告書をチェックすれば、分かります。

売掛金と買掛金のバランスが悪い

買掛金に比べて売掛金が極端に多くないですか?
売掛金が多いってことは、未収が多いってことですよね。
回収できないものもあるんじゃないですか?もしかしたら利益を相殺できるかもしれません。
回収できない売掛金がずっと残っているってことは、貸し倒れ処理していないってことです。
結果として御社が融資を受けているなら、銀行からの評価が落ち、ひいては金利が上がります。

仮受金・仮払金が多い

仮受金とか仮払金というのは、仮に受け取った、あるいは仮に支払ったというものですから、あくまでも一時的に用いる勘定科目なんですね。
ですから、この科目の残高がずっと残っているっていうのはおかしいわけです。
何のお金が分かっているのであれば問題ありませんが、経費になるべきものが仮払金のまま残されている、などという場合は税理士の仕事が雑ってことです。

社長への貸付金・社長からの借入金

社長への貸付金って、銀行から見ると、会社に返ってくるかどうか分からないお金、つまり不良債権なんです。
これは銀行からの評価を明らかに下げる勘定科目です。
対して社長からの借入金が増えたり減ったりするのは、税務署から見ると不正経理を働いているのではないか、と見られやすいんですね。
簡単に言えば、売上げを抜いたり不正経理を働けば、資金繰りが悪くなり、社長からお金を借りるという処理をせざるを得ないので、この科目が増えたり減ったりするってことです。
そういうことを分かっている税理士なら、こういう科目はなるべく使わないようにしましょうってアドバイスしてくれるはずです。

こうした点をキチンと指導してくれない税理士はデキナイ税理士と見て間違いありません。
電卓の上で悩む人

税理士に対してやってはダメなこと

あなたが良い税理士に出会えたとして、税理士に対してやってはいけないことが4つあります。
税理士が最も嫌がる方の4パターンを挙げていきましょう。

値切る方

「ネットでは記帳丸投げで決算申告してくれて年間20万円というところがあった。それくらいで頼みます。」
そんなことを言う方がおられます。
「士」とつく職業の人(弁護士、税理士、司法書士など)は、相談するのも、動いてもらうのもお金がかかります。
そういった基本的なことを知らずに、ただ安くしてほしいというなら、ネットで探してそこに依頼すればいいと思いませんか。

加えて、税理士がせっかくクライアントのために色々アドバイスしてあげようと考えていても、値切られるとそんな気が失せてしまうものです。
「安かろう悪かろう」と頭に入れておいてください。

報酬を支払わない方

資金繰りのために一時的なら仕方ありませんが、払わないで済むならそれに越したことはないと確信犯的に払わない方がいます。
必ず自分に返ってきますので、注意しましょう。

善意を当たり前と思う方

良かれと思って、銀行融資に付いて行ってあげる
良かれと思って、社会保険の計算をしてあげる
良かれと思って、補助金の申請の手伝いをしてあげる

こういったサービスは、税理士の職務義務ではありません。
フィーには含まれていないけれども、クライアントのために一肌脱いであげているわけです。
しかし、これを「サービスでやるんですよ」と言わないと、「当然の税理士業務だ」と勘違いしてしまう方がおられるんですね。
あるいは「前の税理士はやってくれていたのに」とおっしゃいます。

いずれも、善意でしていることですから、信頼関係を崩すようなことは言わないようにしましょう。

税理士を頻繁に替える方

税理士を替えなければいけない場合は当然あります。
信頼関係がなくなったり、会社の局面に応じて物足らなくなったり。
しかし、あまりに頻繁に変えるというのは、あなたに問題があると考えられてしまい、良い税理士と出会うチャンスを自ら放棄してしまう事態になりかねません。

税理士がある程度信頼できるなと感じておられるなら、何度も替えるのはやめましょう。

実際に税理士を替える際にすべきこと

最後に、実際に税理士を替えるとなった場合、どういった準備が必要なのかお伝えしておきます。

①顧問税理士との契約書を確認

まず、今の顧問税理士と顧問契約書を交わしているか、確認してください。
交わしている場合、契約書の「契約の解除」について「契約解除月の末日の〇か月前までに税理士に通知するものとする」といった決め事が書かれているはずです。
ここをチェックすることで、「税理士を切るタイミングの〇か月前には言わなくてはならいな」ということを把握してください。
契約書がない場合は、いつでも契約を切ることができます。

②必要書類の収集

手元に以下の書類があるか確認してください。
・申告書(法人税・道府県民税・市町村民税・消費税・償却資産税)
・総勘定元帳
・年末調整関係書類

通常は、「決算報告書」としてこれら全てが綴じられているので、一式セットがあれば大丈夫です。このセットが直近3年分あれば、問題ありません。
これらの申告・決算書類と合わせて、過去に税務署等に提出した以下のような届出書・申請書の控えがあるか確認してください。
・法人設立届
・青色申告の承認申請書
・棚卸資産、減価償却方法などの届出
・消費税課税期間特例選択・変更届出書
・消費税課税事業者選択届出書
・消費税簡易課税制度選択届出書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
などなど。
設立届など

これらが手元にない場合は、税理士に問い合わせてみましょう。

③会計データの受領

社内で会計ソフトを導入されて、経理担当の方が全て入力されているなら、問題ありません。
ただ、仕訳入力などを税理士事務所に丸投げしているような会社の場合は、決算書類とは別に契約解除までの会計データをもらってください。
特に事業年度の途中で税理士を替える場合はこれが必須になります。
具体的には
・総勘定元帳
・試算表
・仕訳日記帳
などです。
税理士にこれまでの契約書や請求書、領収書などを渡している場合は、これも戻してもらいましょう。

④お断りするタイミング

これらの書類やデータが手元にあれば、いつでも大丈夫です。
ただ、信頼関係の薄い税理士の場合、提出した申告書などをなかなかもらえなかったりするので、くれぐれもこれらの書類やデータを前もって集めてください。
「これまでの経営状況を分析したい」などとお願いすれば大丈夫です。

⑤お断りする際の理由

「あなたが無能だから、税理士を替えますわ。」とはっきり言いにくいですよね(笑)。
定番の断り文句としては
・親戚(友人の息子とかでもOK)が税理士になったので、そこにお願いします。
・取引先に頼まれたので、その指定の事務所にします。
こう言われると、「それは仕方ないですね」としか言いようがありません。
と言うか、こう言われた税理士側も初めての体験ではありませんから、切るための方便だと分かっています。
無理に引き留めるわけにもいきませんから、スムーズに事が運ぶでしょう。

ポイントとしては、断る前に、必要な書類、データをすべて集めておくことです。
そして、新税理士とは、これまでのやり方、変更したいこと、要望などをしっかり伝えることが大切です。

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