ガソリン税、早く下げろ!取りやすいところから取る税制の罠

Q 運送業を経営しています。ガソリン代が高止まりしていて、頭を悩ませています。ガソリンの暫定税率が廃止になるというニュースを耳にしましたが、どうなるのでしょうか?

A 自民党が少数与党になり、ようやくガソリン税の暫定税率廃止が動きだしました

日常生活で車を使う方はもちろんのこと、ガソリンを仕事で使う運送業、農業、漁業といった仕事をされている方にとってこの問題は避けて通れない問題ですよね
ガソリン代は税制や補助金の動向によって大きく左右されます
暫定税率の廃止が議論されているなか、「いつから価格が変わるのか」「家計や事業への影響はどれほどか」といった疑問や不安を感じる方は少なくないでしょう

まずはガソリン税と暫定税率の基本的な仕組みから話を進めましょう

ガソリン税、暫定税率って?

ガソリン税とは、国税である「揮発油税」と地方税である「地方揮発油税」を合わせたもので、1リットルあたり揮発油税24.3円と地方揮発油税4.4円が基本です
合計すると1リットルあたり28.7円となる税に暫定税率の25.1円が上乗せされ、実際には計53.8円がガソリン価格に含まれることになります
ガソリン本体の価格にガソリン税(53.8円)を加算した販売価格に、さらに消費税もかかるため、二重課税だという声も良く耳にしますね
政府は「ガソリン税と消費税は納税義務者と課税の対象が異なるので、二重課税ではありません」と言っています
ガソリン税はガソリン製造業者が負担していて、消費者はこれを販売価格で買っただけでガソリン税を負担しているわけではないという理屈なんですね
もっと分かりやすく説明しますと、例えばルイ・ヴィトンのカバンを税抜50万円消費税5万円の合計55万円で買った場合
このカバンの商品代50万円の中には輸入関税といった税金が5万円くらい含まれいます
じゃあ輸入関税に消費税かけているから二重課税だとはならないでしょ?あくまでも税金などのコストを含んだ商品に消費税がかかっているだけですよ、と言いたいわけですね
けど、最終的な負担をドライバーがかぶっているという意味では実質的な(経済的)二重課税だろうと思いますね
軽油引取税なんかには消費税を課税しませんという特例があるわけですから、解消しようと思えばできる話ですよね
ガソリンの税金内訳

ガソリンにかかる暫定税率は、1974年のオイルショック後に燃料価格高騰に対処し、道路整備財源を確保するため「一時的に」上乗せされた増税措置です

暫定税率はそもそも時限措置でしたが、実際のところは現在まで50年以上残ったままになっています
暫定税率を廃止する議論はこれまで何度も行われてきましたが、そのたびに道路財源の確保や財政赤字の抑制などのため先送りになってきました

成立から1979年までに現在の水準まで引き上げられ、2009年には一般財源化しました
最近よく聞く「トリガー条項」を発動せよという声
「トリガー条項」は、レギュラーガソリンの価格が3か月連続で1リットル160円を上回った場合、翌月からガソリン税の上乗せ分(25.1円/1リットル)の課税を一時的に差し引くという2010年に導入されたルール
「東日本大震災があったから一時的に凍結しており、ムニャムニャ…」(某政治家)
こんな状態が長い間続いていましたが、ようやく自民党が少数与党になったことをきっかけに野党から暫定税率廃止の法案が複数提出されています

どうしてこんなにコトが動き出すまで時間がかかったのでしょう
税金の歴史を掘り下げれば見えてくることがあります

世界のアホな税金

世界にはアホな税金が結構あります

有名なところでは中国の「月餅税
げっぺい税って読むんですけど、中国では旧暦の8月15日の中秋節に月餅っていう菓子を食べる習慣があるんですね
中国の月餅
あれだけの人口がみんな月餅食べるわけですから、すごい数です

そこで、「めっちゃ財源になるやん」と考えた政府は2011年に4,000円買ったら600円の月餅税払うんやで~と課税を始めたそうです
中国全土で月餅税拒否運動が起こり、「もう月餅は食べない!」と猛反発したらしいです
そんなに月餅を食べたかったんですねぇ…

アメリカの一部の州では「ソーダ税」なんていう税が導入されてます
これは「炭酸飲料が肥満の原因になるから、2リットルのファンタを買ったら税金70円を払ってね」とカリフォルニアバークレーなどで導入
この結果、ソーダの消費量が20%抑えられて、肥満にならずに良かったやん!と他の地域にも広がっているらしいです
ソーダくらい飲ませてあげればいいのにとは思いますが、よく考えたら日本のたばこ税も似たようなもんですね

カナダでは、ドーナツの店内食かテイクアウトかの判断基準を一人当たりの個数で決めているそうです
6個以上ならテイクアウト扱いで軽減税率、5個以内ならテイクアウトでも店内食扱いで標準税率
さすがにギャル曽根じゃないんだから、6個以上も店内で食べられないだろうと
でも、カナダの学生たちはドーナツショップ前で見ず知らずの人と6人集まって、一緒に買って堂々と店内で食べているらしいです

昔の京都で、家の間口の広さで税金をかけたら、間口の狭い「ウナギの寝床」と呼ばれる京町屋がたくさんできたって話を思い出しました
京都町屋 鰻の寝床

どこまでいっても、いたちごっこなんですよ。こういうのは

取りやすいところから取る

昔から税金というのは、公平・簡素・中立が大原則
でも、それだけじゃない
取りやすいところから取るということも、真実

日本のたばこ税は、健康に良くないからという理由で税率を上げるということがずっと続いています
今やたばこの値段の半分以上税金です
たばこ一箱の税金内訳
(JTのHPより引用)
でもね、健康に良くないとか精神衛生上良くないものなんて、他にもたくさんありますよ
コーヒーやコーラだってそう

食品以外でもパチンコなんて、ギャンブル中毒になる確率が高いってことで発祥の地・韓国では廃止されたのに、日本ではOKです
大阪でカジノを作るって言ったら、ギャンブル中毒になる人が出るからという理由で反対している人がいましたが、その前にパチンコだろ!と感じたのは私だけでしょうか

ガソリン税も取りやすい

何が言いたいかというと、税金って「ええ加減にせえよ!」って声が上がりにくいところからシレ~っと取ってるってこと
たばこ愛煙家は、「たばこは健康に良くないし、臭い!副流煙があるからあっち行って!」という嫌煙家の意見もあって、大っぴらに声を上げにくい
ガソリン税も実は同じ構図なんですね

ガソリンも、実質的二重課税になっていることやここまで税金がかかっていることを知らない人が多い上に、「車が走りすぎると大気汚染が激しくなるよね。だからガソリンに税金かけて負担が増すと地球環境にもいいよね」といった空気感
給料にかかる源泉所得税じゃないですけど、知らない間に取られているから、反対の声が盛り上がらない
逆に、政治的に影響を及ぼす団体から反対されるようなものには手を付けない
それをうまくコントロールするのが政治家の仕事だと思いますが、票の力には勝てないという悪しき慣習が日本の税制や社会保険制度を歪めてしまっているんですね

日本の税金の歪みを直すべき時

もう一度言いますが、税金は、公平・簡素・中立が大原則
日本の税制はどうでしょう?
簡単ですか?公平ですか?
ガソリン税の暫定税率なんて、これまで誰がみても問題が多い制度なのにずっと放置されてきました
2025年8月1日に、野党7党(立憲民主、維新、国民民主、共産、参政、保守、社民)が、ガソリン税暫定税率廃止を求める法案を衆議院に提出しました
提出された法案には、2025年11月1日から25.1円の暫定税率を廃止し、補助金を段階的に拡充していく案などが盛り込まれています
誰もが納得できる公平・簡素・中立な税制にしてほしいものです
問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所
国税OB税理士による税務調査対策グループ

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