究極の印紙税節税対策★誰も教えてくれない裏技

印紙税節税対策

Q 不動産売買契約書に貼る収入印紙。軽減税率が適用されて1万円の収入印紙を買えば良いところを2万円の収入印紙を買ってしまいました。税務署で返してもらえますか?

そのまま収入印紙を税務署に持って行っても現金を返してくれません。返してもらうにはルールがありますので、しっかりポイントを押さえて、現金を返してもらいましょう。あわせて、印紙税の節税方法についても見ていきましょう。

印紙税って、どのような文書にいくら貼れば良いのか、本当に難しいですよね。
私が国税局に入局した時、1年間印紙税の仕事をしたのですが、本当に摩訶不思議な税金だなと感じました。
こんな税金は数年後には無くなるよ。」と先輩職員に言われてから、もう30年近く経ちますが、まだご健在です(笑)。

印紙税の課非判定は難しい

 印紙税は、法人税や所得税と同じように、国税です。国税のことは、税務署ですよね。でも、印紙税のことを取り扱っている税務職員でさえ、本当に理解している職員はわずかです。
 国税調査官は、主税目である法人税や消費税、源泉所得税に加えて、印紙税もチェックする権限を持っています。というか、必ずチェックせよ!と指示を受けます。
 しかし、「収入印紙を貼らなければならないのに、貼っていないじゃないか!」と税務調査の現場ですぐに指摘できる調査官はほとんどおらず、「署に帰って確認します。」と契約書などのコピーをとって帰るのが一般的です。

 では、税理士は税法のプロですから、きっと詳しいに違いない。
 いや、実は税理士試験に印紙税なんて教科はありません。したがって、法人税や所得税なら「代理権限」という「税理士が納税者の代わりに税務署に意見を述べたり、反論したりする権限」がありますが、印紙税には、その権限がありません。税理士は、納税者が印紙税について税務署から指摘を受けても、反論する権利もないんです。
それゆえ、税理士も「印紙税がかかるとか、かからないとか」判断できる人はほとんどいません。

プロがこのありさまですから、一般の方が印紙税の「貼る貼らない」を判断するのは、相当難しいことだということを、まず知っておいてください。そのうえで、基本だけでも押さえておけば、損することはありません。

印紙税は文書課税~実態は関係ない

では、まず印紙税の基本。
印紙税は文書課税

所得税にしても、法人税にしても、印紙税以外の税金は、「契約書」という文書があったとしても、「実態」が大事です。
社 長「ちゃんと請負契約書を作っているから、これは外注費でOKでしょう。」
調査官「いや、契約書がどうこうじゃなく、実態として雇用関係がありますので、これは給与です。」
といった具合に、実態で判断する。

しかし、印紙税は違います。実態は関係ない。
文書に書いてあることで判断するのです。

例えば、通常、請求書に印紙は貼らなくて良いですが、これに「代金済」とか「了」などと書いてあれば、「売上代金の受領書」いわゆる「領収書」に該当し、収入印紙を貼らなくてはなりません。売上代金を領収した事実が文書から読み取れるからです。
では
ここで、印紙税について、良く聞かれる質問ベスト3について、触れておきます。

文書じゃなくデータなら

領収書をpdf(画像データ)で発行したら?
印紙は要りません。
印紙税基本通達44条に「課税文書の作成とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。」と記載されています。つまり、紙に書いて交付して初めて「作成」です。
これは領収書だけじゃなく、契約書にも言えることです。
最近では、ハンコ廃止の流れに乗って、クラウド上のデータで契約(電子契約)をする会社も出てきていますね。
データで契約、データで領収書発行。収入印紙代を抑えられます。

契約書って、どちらが印紙を貼る?

 業務請負契約書とか不動産売買契約書といった、発注元と受注先あるいは、売主と買主といった2者(社)で契約書を作成する場合、どちらが印紙を貼るの?って良く聞かれます。
税務調査でこうした契約書に印紙が貼ってなかったことがバレた場合、社長がこう言います。
「これは、相手先が貼らなかったものをウチが受け取っただけ。課税するなら、相手先に言ってくださいよ。」と。
これは違うんです。こうした契約書は双方が連帯して印紙を貼る義務があるんです(印紙税基本通達47条)。
連帯して義務があるのですから、この社長(会社)にも義務があることになり、税務署に印紙税を課税されることになるんです。もちろん「連帯して」納めるわけですから、その後相手先に請求していただいても構いません。
それは税務署の知るところではないってことですね。

「領収書には印紙」の誤解

領収書には収入印紙を貼らなきゃならないもんだ。
これ、誤解です。
収入印紙が必要なのは、営業に関するものだけ
「営業に関する」とは、営利を目的として同種の行為を反復継続して行うこと。
例えば、サラリーマンのあなたが、個人所有の車を友人に売ったときに100万円の領収書を発行しても、印紙を貼る必要はありません。
あなたが車を売ることを業としているわけではありませんからね。

 次に良く聞かれるのが消費税は含むのか含まないのかという質問。
印紙税の対象となる金額は売上代金のみですから、消費税は含まれません。
そのため、領収書の場合、本体価格が5万円以下であることを明記できていれば、収入印紙を貼る必要はありません。
ただし、以下のように消費税額を明らかにしていない場合、たとえ「税込み」と記載していても収入印紙を貼る必要が生じます。
収入印紙 必要ありの領収書

 以下のように、きちんと消費税の金額を明らかにすれば、収入印紙を貼らなくてかまいません。
きちんと、消費税額を記載するようにしましょう。
収入印紙 必要なしの領収書

収入印紙は印紙税の納付以外でも使われる

ご質問の印紙代を税務署で返してもらいたい場合の対処法に話を移します。
「収入印紙」の使い方の中で、税務署が関係してくるのは、印紙税としての収入印紙だけ。
収入印紙は確かに印紙税の納付に用いられますが、それだけではありません。
許可申請の際の手数料、罰金の支払いや不動産登記の際の登録免許税の支払いなどにも使われます。

印紙税の納付のために払った収入印紙のことについてだけ、税務署は相手にしてくれます。

印紙税過誤納確認申請書

国税庁のホームページには、収入印紙代を返してもらう手続きについて、こんな風に書かれています。
「印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙をはったときや所定の印紙税額を超えた収入印紙をはったとき」
こうした時に、印紙税過誤納[確認申請・充当請求]書と収入印紙を貼り間違えた文書を税務署に提出することにより、収入印紙代を返してもらえる。
印紙税過誤納確認申請書
後段の「所定の収入印紙を超えた収入印紙を貼った時」は分かりやすいですよね。
不動産売買契約書に2億円の土地を売って、印紙税額の一覧表を確認したら10万円と書いてあるので、10万円の収入印紙を貼った。
でも、詳しい人に後から聞いたら、令和4年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置があって、2億円の土地売却なら6万円の収入印紙を貼れば良かった。
4万円も多く貼りすぎた!といった場合ですね。この契約書を税務署に持っていって、印紙税過誤納確認申請書を記載すれば、4万円を指定の金融機関に振り込んでもらえます。
問題は前段の「印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙をはったとき」
この場合は結構、税務署でトラブルになることが多いんですね。

契約書に貼っていない収入印紙は返してもらえない

 ご質問のように、不動産売買契約書に収入印紙を貼らずに、契約書と収入印紙をバラバラに税務署に持っていっても返してもらません。
収入印紙は貼って初めて印紙税の納付に使われたことが明らかになるからです。何だか禅問答みたいですが、収入印紙は貼らなければ、先ほど申し上げたとおり、手数料なども支払いにも使えます。税務署はあくまでも印紙税を多く納付しすぎた、とか、印紙税を納付しようと思って間違えて貼ったから返してくれるのです。
こういう場合は、契約書に収入印紙を貼ってしまいましょう。

仮契約書に貼った収入印紙は契約不成立でも返してもらえない

 印紙税は、あくまでも文書課税であり、実態は無関係と申し上げました。
「不動産を売ろうと思って、不動産売買(仮)契約書を作成し、売主・買主が署名・押印した。しかし、この仮契約は結局不成立になったから、収入印紙代を返してほしい。」
こんな方が印紙代を返してもらおうと、よく税務署に来られます。
しかし、これは返してもらえません。
「仮」であっても、両者の署名押印、金額など課税すべき要件が文書に書いてあれば、実際に契約に至らなかったという事実に関係なく、収入印紙を貼らなければなりません。
ちなみに、一つの契約で3通作成した場合、3通とも印紙を貼る必要があります。コピーは貼る必要がありませんが、ちゃんと署名・押印した複本には必要です(印紙税基本通達19条②)。
印紙税は、あくまでも文書課税なんです。

署名や押印が無い文書は返してもらえる

 では、具体的にどういう場合に返してもらえるか?
まず、「印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙をはったとき」とはどういう場合か。
「印紙税の納付の必要がない文書」と言っても、例えば白紙の紙に収入印紙を貼ったって返してもらえない
なぜなら、白紙の紙に貼るのは、収入印紙を納めようとしたとは認められないから。
これ、微妙ですよね。
例えば、印紙税法上、「注文請書」は「請負に関する契約書」(2号文書)と言って、収入印紙は貼らなければならない。しかし、「注文書」には貼らなくていい。
仕事を請け負ったことを証する文書じゃないですからね。例えば、この「注文書」に収入印紙を貼ってしまったら、これは返してもらえるんですね。
「印紙税を納めようとした」と推認されるから。
領収書は、平成26年4月以降、受取金額が3万円以上ものから5万円以上のものに課税最低額が引き上げられました。これを知らずに受取金額4万円の領収書に貼ってしまった。これも返してもらえるでしょうね。明らかに「印紙税を納めようとして」いますからね。
税務署が「印紙税を納めようとしているもの」にこだわるのは、あくまでも印紙税に関係するものを取り扱う官公署だからというのはあると思うんですけど、悪用されたくないっていうのもあると思いますね。
 例えば、チケットショップで10万円の収入印紙を9万9,000円で買ってきて、そのまま税務署に持っていって返してもらえるとなると、1,000円の儲け。誰もそんなことしないとは思いますけど、これが制限なく、収入印紙だけ持っていけば返してもらえるとなると、やはり問題ですよね。

 過誤納の理由として国税庁が例示しているのは、こんな場合

印紙税過誤納 理由
一番目に「書損等」ってありますね。
契約書が汚れたり、書く場所を間違えたり。
ただ、書損と言っても、契約金額や署名・押印が全て記載されている契約書なんかは返してもらえません。すでに課税文書に該当しているからなんですね。

書き損じたら、その段階で税務署へ

 書き間違えた段階では、契約書を作っている途中ってことですよね。
てことは、相手方はまだ署名や押印をしていない。その段階で税務署に契約書を持っていってください。
体裁を整えようと、「署名・押印までしてからにしよう」などと考えないようにしてくださいね。
改正後の収入印紙
(2018年7月にリニューアルされた収入印紙。文字が光り、絵が浮かぶ最新技術が盛り込まれた。)

印紙税の貼り漏れを税務調査で指摘されたら

 ここまで、収入印紙代を税務署で返してもらう手続きについて、お話してきました。
面倒だな~と感じられた方も多いでしょう。
では、面倒に感じすぎて、収入印紙を貼らないでおこうと考え、貼っていないことが税務調査などで指摘された場合、どうなるか?
まず、税務調査で契約書などはチェックされると考えておいてください。
そして、収入印紙を貼っていないことが調査官にバレた場合、例えば10万円の収入印紙を貼らなければいけないのに貼っていなかったという場合。
調査官から「印紙税不納付事実申出書」を提出するように求められます。
印紙税不納付事実申出書
本来は、印紙代の3倍が徴収されるルールなのですが、実務上これは悪質な場合に適用されます。
悪質な場合とは、収入印紙の使いまわしやあたかも収入印紙を貼ったかのように調査官に契約書などのコピーを提示して偽装した場合など。
それ以外は印紙代の1.1倍が徴収されます。
よく勘違いされるのは、法人税や所得税の加算税と印紙税の過怠税を同じペナルティだと考えてしまうこと。
このイメージを見てください。
印紙税 過怠税のイメージ
加算税が仮に過少申告加算税で10%とした場合、法人税や所得税ならその10%部分が加算税です。
しかし、印紙税の場合は、もともとの印紙代10万円を含めて1.1倍の11万円が過怠税なのです。
それがどうした?
これはどちらもペナルティなので、経費にならないんですよ。
法人税や所得税はもともと税金そのものが経費にならないから良いとして、印紙税は本来経費になる10万円も、オンされた1万円も経費にならない。
これは痛いですよ。

迷った場合に相談窓口に相談するノウハウ

 この痛い事態を避けるには、やっぱりあらかじめ聞くのが一番です。
どこに聞くか?各国税局には「税についての相談窓口」があります。そこにまずは電話をしてください。
「まずは」と書いたのは訳があります。
最終的な回答は電話でしてくれないからです。
「印紙税は文書課税です」と何度も書いてきました。
電話で「『エレベーター保守契約書』って収入印紙貼らないといけませんか?」と聞いても一般論としては答えてくれますが、「確実なことは契約書を確認しないと言えません。」と返されてしまいます。
なぜなら、その契約書に金銭領収の事実があれば、領収書に該当するかもしれませんし、請負の事実が読み取れれば、請負契約書に該当するかもしれません。
それを確認しないで「印紙税はかかりません。」と答えてしまうと、「国税局が印紙を貼らなくていいと言った!」と主張する人が必ず出てくるんです。
加えて、「どうすれば印紙税がかからなくて済みますかね?」という質問はタブーです(笑)。
実際には国税局の担当者は、その質問に答えられます。
しかし、答えない。
なぜか。
印紙税をかからないように文言を変えると、契約の内容が変わってきます。その契約内容のことで当事者間でトラブルになった場合、国税局の責任にされてはたまらないからです。
では、印紙税がかからないようにどうすればいいかという質問はどのようにすれば答えてもらえるのでしょう?
文言を変えて何種類か契約書を持っていき、それぞれのパターンで課非判定(印紙を貼るべきか貼らなくて良いかの判定)をしてもらうのです。
これなら、国税局も受けざるを得ない。
実際に私が担当をしていた時は、某金融機関が100種類以上の文書を持参して判定を依頼されました。ものすごく時間を取られましたが、やらざるを得ない…。

いかがでしたか?
バカにならない収入印紙代。しっかり理解すれば節税もできるはずです。
印紙税の基本的なことを知りたいという方は、国税庁から「印紙税の手引き」が出ていますので、これをご覧になってください。


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国税OB税理士による税務調査対策グループ

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