コロナで申告も納税も待ってくれる!★令和2年分トクする確定申告

確定申告会場

Q 令和2年9月1日から個人事業を始めました。令和2年分の確定申告から青色申告をしたいと考えています。しかし、所得税の青色申告承認申請手続きをするには、開業日から2か月以内にしなければいけないと人から聞きました。その期限は過ぎているのですが、どうしようもないのでしょうか?

A 新型コロナウィルス感染症の影響で申請が遅れたという理由があれば、税務署は柔軟に対応してくれます。

コロナ禍の影響で、世の中が大変なことになっていますね。連日、コロナ患者の最多更新や医療体制のひっ迫というニュースばかりです。
とは言え、事業をしている方が避けては通れない確定申告の時期はどんどん迫ってきています。
ご質問者の場合、本来の青色申告承認申請書の期限は開業した9月1日から2か月、つまり11月30日が期限であったはずですね。
青色申告承認申請の提出期限は1月15日までに開業した場合と、それ以降に開業した場合では取り扱いが以下のように異なります。

青色申告承認申請書の原則
ご質問者がコロナの影響が全くない場合、すでに11月30日の期限を過ぎていますから、令和2年分の確定申告を青色申告にするのは諦めて、令和3年分の確定申告を青色申告で提出できるように、青色申告承認申請書を令和3年3月15日までに所轄の税務署に提出してください。

しかし、コロナの影響があった場合はどうなるのでしょう。

令和元年分の確定申告(令和2年提出)は申告期限の延長(4月16日)や納税の猶予など、税務署は柔軟な対応をしてくれていましたが、その後の申請書や令和2年分(令和3年提出)の確定申告書の提出や納税はどうなっているのでしょう。

申告・申請期限を個別延長してくれる

令和2年分の確定申告については、すでにコロナの影響がはっきりしていますから、国税庁も素早く「柔軟に対応する」方針を出しています。
まず、令和2年分の確定申告の申告・納付期限の原則を押さえておきましょう。
所得税及び復興特別所得税・贈与税  令和3年3月15日(月)
消費税及び地方消費税(個人事業者) 令和3年3月31日(水)
原則としては、この期限に遅れると、無申告加算税や延滞税を取られてしまいます。
しかし、コロナの影響で申告書や決算書類などの国税の申告・納付の手続に必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には、個別の申請による期限延長(個別延長)が認められることとなります(国税通則法11条、国税通則法施行令3条3項、4項)。

待ってくれる手続きとは

コロナの影響という理由があれば、待ってくれるのは申告・納付だけではありません。
具体的には次のような申請も対象になります。

  • 個人事業の開廃業等届出
  • 所得税の青色申告承認申請
  • 所得税及び復興特別所得税の更正の請求
  • 青色事業専従者給与に関する届出(変更届出)
  • 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求
  • 所得税の減価償却資産の償却方法の届出
  • 所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請
  • 所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の届出
  • 所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の変更承認申請
  • 国外財産調書の提出
  • 財産債務調書の提出

今回のご質問は「青色申告承認申請」の手続きですから、期限を過ぎていても待ってくれるということになります。
では、コロナの影響なら待ってくれるって、具体的にはどういう場合なんでしょう?

待ってもらうには理由がいる

国税庁が、令和2年12月15日にコロナによる「期限の個別延長」について当面の税務上の取扱いに関するFAQを発表しました。

あなたが個人事業者である場合では、国税庁が具体的な例で挙げているのは次のような場合

納税者がコロナに感染した

納税者や経理担当の(青色)事業専従者が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合。
最も分かりやすい例ですよね。申告や申請期限の前1か月くらいの間にコロナに感染したら、確かに申告できません。

納税者が外国に滞在している

あまりない例だとは思いますが、納税者や経理担当者が外国に滞在していて、ビザが発給されない又はそのおそれがあるなど入出国に制限等がある

経理や税理士と会えないなど通常の業務体制が維持できない状況にある

学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、経理担当者が休暇を取得している。
あるいは、
各都道府県内外からの移動の自粛が求められているため、税理士が関与先を訪問できない状況にあることなどですね。
コロナ禍で経理機能が正常に働かない状況であれば、認められます。

税理士がコロナに感染した

税理士だけじゃなく、事務所の事務員が感染した場合なども含みます。

納税者が外出自粛の要請を受けた

次のような事情により、納税者が、保健所・医療機関・自治体等から外出自粛の要請を受けた場合ですね。
★感染症の患者に濃厚接触した疑いがある
★発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある
★基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある
★緊急事態宣言などにより、全面的な接触機会の低減を目指した感染拡大防止の取組が行われている

これらはあくまでも例ですから、他にもコロナの影響で申請しようにもできないという理由があれば、構いません。事前に税務署にその事情を説明すれば、認められる場合もありますから、個別の事情がある方は確認してみてください。

待ってもらうための手続きと期限

では、申告や申請を待ってもらうためにはどうすれば良いか?
手続き方法は2つ。
まず、青色申告承認申請などの申請の場合は、所轄税務署に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出するというやり方。
もう一つは、確定申告などの場合は、申告書等の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記するか、e-Taxを利用される方は所定の欄にその旨を入力するか。
この場合、申告・納付期限は、原則として申告書の提出日になります。
いずれの提出期限もコロナの影響がやんだ日から2か月以内
何をもって「影響がやんだ」とするのか微妙ですけど、ご自身がコロナにかかった場合などは退院後、外出自粛解除になった日から2か月以内ということになるんでしょうね。
ある程度説明がつけば、柔軟に対応してもらえると思います。

認められない場合もある

税務署はコロナの影響があるのであれば、申告や申請が遅れるのは仕方ないから待ってあげるね、というスタンスなので、無理やり「コロナにかかった」などと嘘をついてはいけませんよ。
国税庁も「税務署からお尋ねする場合があります」と釘を刺してますから、税務署から申告や申請が遅れた理由を聞かれるものと思って提出してください。
嘘がバレた場合は取り消されることもあるということです。

また、コロナの影響だから青色申告承認申請書の提出が遅れたはずなのに、その前に令和元年分の修正申告をしているなんていうのもダメ。
ツジツマがあってないですもんね。修正申告書や更正の請求書など税務署に対して提出できるなら、青色承認申請書も提出できたはずだよね?となります。
コロナの影響による青色申告承認申請書が認められない場合

待ってもらえるものは待ってもらおう

コロナの影響で待ってもらえるのは申告や申請だけではありません。
納付も待ってもらえます。
「コロナの影響で」というのは、「待ってもらえる理由」の章でお伝えした直接的・物理的な理由(ご自身や税理士がコロナにかかった場合など)の場合は、先ほどの「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することにより待ってもらえます。
直接的・物理的には納付できるんだけども、コロナの影響で資金繰りが悪化して納付するのが苦しい場合は、特例として「納付の猶予制度」を使うことができます。

これは税務署に「納税の猶予申請書」を提出すれば、令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する国税は待ってもらえます。
税目は問いませんので、令和元年分の確定申告にかかる所得税や源泉所得税、令和元年12月決算期から令和2年11月決算期の法人税なんていう税金が待ってもらえることになりますね。
令和2年分の所得税確定申告にかかる所得税については、現状では納税を猶予するという発表がありませんので、今後のアナウンスを待つ必要があります。
どれだけ待ってもらえるかというと、原則として1年間納付を待ってもらえます。

これまでの納税の猶予制度でも、延滞税を軽減(令和2年の延滞税は年8.9%が年1.6%に、令和3年の延滞税は年8.8%が年1.0%に)してもらえるのですが、以下の条件を満たせば、「特例猶予」と言って、さらにお得な条件で待ってもらえます。
コロナによる納税の猶予(特例)

① 新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等にかかる収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること。
② 一時に納税することが困難であること。

この2条件を満たす方は、1年間猶予してもらえるだけではなく、無担保で延滞税もかかりません
ただ、納期限を過ぎると申請を受け付けてもらえません。納期限までに申請してくださいね。

税務署は今回の新型コロナウイルス感染症の影響により一時に納付できない事情のある方に対しては、かなり素早く柔軟に対応してくれますから、まずは各国税局の国税局猶予相談センターに電話で相談してみてください。

令和2年分確定申告で赤字が出たら損失を繰り越そう

令和2年分の所得税確定申告では赤字になる事業者が続出すると思われます。
 青色申告をしている方は、事業で出た赤字(損失)を他の所得と通算(損益通算)しても、控除しきれない金額がある場合、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます(所得税法 70 条 1 項)。
青色申告 所得税・純損失の繰越控除

 また、令和元年分の確定申告も青色申告をしている場合には、令和2年分の損失の全部又は一部を令和元年に繰り戻して、所得税の還付を受け(純損失の繰戻し)、繰り戻さなかった損失額を翌年以降3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越すことができます(所得税法 70 条 1 項140 条 1 項)。
 この純損失の繰戻しの適用を受けるためには、令和2年分の確定申告書とともに確定申告期限までに、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を所轄の税務署長に提出する必要があります(所得税法 142 条 1 項)。

白色申告の方は、青色申告の方のように単純に損失を繰り越したり、繰り戻したりできる特典はありません。
 ただし、次のような損失
〇 コロナで飲食業者が食材を廃棄せざるを得なかったといった場合の廃棄損
〇 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
〇 消毒するために支出したマスク、消毒液など費用
これらに限って、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。

こうした国の救済策をフル活用して、乗り切ってください。


問い合わせ 入口基本ver 辻元税理士事務所
国税OB税理士による税務調査対策グループ

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